人生はままならないもの。現役時代に真面目にコツコツ貯金していたのに、想定外の出来事が起きて、お金がなくなってしまうこともあるようです。
ベストセラーの『老後の資金がありません!(垣谷 美雨 著)』を参考にしながら、シニア世代のお金が激減してしまう3つの出来事をご紹介いたします。
この本とっても面白いなぁ……。
あれ、何読んでいるんですか?
『老後の資金がありません!』っていう本です。垣谷 美雨(かきや みう)さんの書いたベストセラー小説ですよ。
ええ、そうなんです。タイトルどおり、老後の資金がなくなる事例がリアルに紹介されていて、すごく参考になりました。
それは面白そうですね。あらすじを教えてください。
ではかんたんにご説明しますね
主人公は、50代の主婦で、銀行でパートをしています。
夫は定年間近で、子育てもひと段落。
貯金は1200万あるし、退職金と年金をもらって、老後は安泰に暮らしていけるかなと思っていました。
うちもそんな感じだな~。
ところが。
予定外の出費の連続で、コツコツためた老後の資金が、300万まで減ってしまうんです。
えーっ!? その歳で貯金300万円ですか。それは心もとないですね。
そのうえ夫婦そろってリストラ、退職金全額カットの憂き目にあってしまいます……。
年金をもらうまえに夫婦で無職になってしまうなんて……。老後どころか、今の生活だって苦しくなりますよね。それからどうなってしまうのですか?
ごめんなさい。これ以上はネタバレになるので言えません。
ええ!? せめて、お金がなくなる理由だけでも教えてくださいよ。
わかりました。
では、この本に出てくる、「老後の資金が足りなくなる3つの理由」をご紹介します。
まず1つ目は……親の介護です。
1.親の介護
あぁ、介護かぁ~。 たしかに私の親も80歳……。いつ老老介護が始まってもおかしくない状況だな。
この本では、主人公の義理の両親は、入居一時金2000万円、月額料金22万円の高級ケアマンションに入居していました。
そのため、主人公は毎月9万円の仕送りをしていたのです。
・一時金2000万円
・月額料金22万円
・仕送り9万円
ええ? それはずいぶん高いケアマンションだね。
そうなんです。
この小説では、体調の崩れた義理の両親を「最後の贅沢」のつもりで高級なケアマンションに入れました。
その後十数年にわたって長生きしたため、家計を圧迫するようになってしまい、ついには仕送りができなくなってしまうのです。
うーん、長生きしてくれて嬉しい反面、家計は絶対苦しくなるよなぁ……。
介護のお金は一般的にどれくらいかかるものだろう?
生命保険文化センターの調査によると、介護費用として支払った額の平均額は、月7万8,000円でした。
引用:https://kaigo.homes.co.jp/manual/money/pension/lack/
また、介護が始まるときに、初期費用がかかる場合もありますよね。
例えば住宅をバリアフリーにリフォームしたり、介護用ベッドを購入したりします。
このような初期費用の平均は69万円となっています。
引用:https://kaigo.homes.co.jp/manual/money/pension/lack/
なるほど。親の年金でまかなえればいいけど、足りない部分も出てくるかもしれないね。
私自身が介護されるときのことも考えて、貯金しておかないといけないなぁ。
そうですね。元気なうちから考えておくのは、とてもよいことだと思います。
続いて、老後資金がなくなる2つ目の理由は……「葬儀」です。
2.葬 儀
まぁ、介護の次に待ち受けているのは葬儀だよね……。
そうなんです。
小説では義理の父が亡くなり、葬儀と墓代で400万円を払うことになります。
え? またずいぶんと高いね。
一般的な葬儀費用はそこまでかからないでしょ?
日本消費者協会の調査によると、葬儀費用の全国平均は約195万円です。
小説で亡くなった、主人公の義父は、引退前まで老舗の和菓子屋の店主でした。
そのため「見栄えのいい式を」とかんがえて、立派な祭壇や棺などを用意し、葬儀費用がかさんでしまったのです。
とはいえ、香典ももらえるでしょ?
それが、思っていたよりも参列者が少なく、全然香典が集まらなかった……という誤算もあったんです。
それに加えて、義理の両親は引退後の豪遊によって、貯金がまったくない状態でした。
それで全部手出しになってしまったんだね。
まぁ世の中貯金がある親ばかりじゃないからなぁ……。
そうですね。いろいろな状況の方がいらっしゃいますよね。
小説では葬儀でたくさんお金を使ったあと、さらに支出を迫られる事態になります。
それが娘の「派手婚」です。
3.派手婚
小説では、娘婿の両親がスーパーを経営しており、「お得意様を呼んだときに恥ずかしくないように」と豪華な式をしました。
その結果、結婚式やハネムーンにかかる費用が膨らみ、最終的に貯金を500万取り崩すことになります。
あ~、たしかに一生に一度のことだし、可愛い娘のためならお金に糸目をつけたくないって気持ちはわかるなぁ。
ちなみに相場はどのくらいなの?
結婚情報を発信しているゼクシイによると、平均して469万2000円だそうです。
ちなみにご祝儀総額は平均227万8000円です。
このうち、親から何かしらの援助があった人の割合は78.6%。
受け取った平均額はふたり合わせて192万4000円という調査結果が出ています。
なるほど。親が100万円くらい出すのが相場なんだね。
そういうことですね。
小説ではこの3つの出来事が立て続けに起きて、夫婦の老後の資金は300万まで減ってしまうのです。
さらに夫婦二人してリストラされ、人には言えないようなことにまで手を出してしまうのです……。
え? 人には言えないことって何だい?
詳しくはぜひ小説を読んでくださいね。
主人公とは対照的に、お金に対してしっかりものの主婦も出てくるんです。
彼女が結婚式や葬式の費用をやりくりする方法が、すごく参考になりました。
結局、見栄をはりすぎちゃうのがいけないんだよね。
老後は身の丈にあったものを選べばいいんだろうけど、実際には引退前の金銭感覚を引きずってしまうんだよね。
そうですね。
結婚やお葬式など、一生に一度のことと思うと、つい大盤振る舞いしてしまいたくなりますよね。
でもそこで財布の紐をひきしめるのが、大事なことのようです。
ここで、今回のまとめです。
老後の資金がなくなる理由は「介護」「葬儀」「結婚式」の3つ
身の丈にあった支出で、老後資金を守りましょう。
原作も読んで節約方法を楽しく学びましょう
はい、今回の内容はいかがだったでしょうか?
私自身も、小説を読んでお金の問題について考えさせられました。
見栄を張らずに、身の丈にあった生活で老後の資金を守りたいものです。