日本の年金制度では、申請主義。
あまり知られていませんが、申請すればプラスアルファの年金がもらえることがあるのです。
その一つが加給年金。
夫が65歳のときに妻が年下だと、年金額が増える可能性があります。
いわば年金制度の家族手当です。
ところが、この年金の存在を知らずに、申請しそこねてしまう人は多いようです。
制度の内容や、申請し忘れたときの請求期限についてお伝えいたします。
いいなぁ~。アイツがうらやましいよ。
ナビ男さん、どうしたんですか?
いや~。
友達から、20歳年下の女性と結婚したってメールがきたんだよ。
なかなかの年の差婚ですね。
でもアイツももうすぐ定年なんだ。
退職してから若い嫁さんを養っていくことを考えると大変そうだなぁ。
そうですね。
でも、年下の妻がいる夫のための「加給年金」がありますから。
加給年金……?
65歳になったときに、年下の配偶者か18歳未満の子供がいれば、老齢厚生年金に一定額が加算されて、年金が増えるんですよ。
年金制度における家族手当みたいなものですね。
ええっ! 私の妻も年下だけど、もらっていたかな?
私の通知書には書いていない……。
やっぱり申請してなかったようだ。
年金は申請主義ですから、請求しないと受給できません。
実際に加給年金をもらい損ねている方はとっても多いようです。
でも、今からでも取り戻すことができるかもしれません。
内容を確認していきましょう。
まず、加給年金そのものがもらえるかどうか確認しましょう。
要件の一つ目が、厚生年金の被保険者期間が20年以上ある人です。
二つ目が、65歳に達したときに、生計を維持されている配偶者か子どもがいること。
2、65歳に達したときに、生計を維持されている配偶者か子がいること
「生計を維持されている」ってどんな状態?
原則として、次の要件を満たす場合をいいます。
同居していること。
別居していても、仕送りをしていたり、健康保険の扶養親族であったりすること。
また、加給年金の対象者である妻や子の前年の収入が850万円未満であること。
または所得が655万5千円未満であることが条件です。
・同居していること
・別居している場合、仕送りしていたり、健康保険の扶養親族であること
・加給年金の対象者である妻や子の前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。
妻や子にそれなりの収入がある場合は対象にならないということだね。
加給年金はいくらくらいもらえるのかな?
例えば、65歳未満の配偶者がいる場合、ナビ男さんの年金に224,700円が加算されます。
さらに、18歳未満か1・2級の障害状態にある20歳未満のお子さんがいる場合、2人目まではそれぞれ224,700円が足されます。
3人目以降の子は、74900円になります。
ふむ。年下妻と18歳未満の子供が1人いる場合、449,400円が加算されるのか。
月額にすると、37450円の年金が増えるんだね。
これはけっこう大きいな。
ただし、配偶者が老齢厚生年金、退職共済年金または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止されます。
これは自分で申請しないともらえないんだよね?
そうなんです。
加給年金を受給するためには、年金事務所もしくは年金相談センターへの届け出が必要になります。届け出には、戸籍抄本や住民票の写し、加給年金の対象者の所得証明書などが必要になります。
加給年金はいつまでもらえるんだい?
「振替加算」は妻自身の老齢基礎年金に上乗せされます。
妻が65歳になったタイミングで、加給年金から振替加算に切り替わるイメージですね。
ちなみに、妻が年上の場合は何ももらえないのかい?
申請すれば全員がもらえるものかい?
いくらもらえるのかな?
振替加算の額は、大正15年4月2日~昭和2年4月1日生まれの方については、配偶者加給年金額と同額の224,700円。
それ以後年齢が若くなるごとに減額していきます。
昭和41年4月2日以後生まれの方はゼロとなるように決められています。
なるほど。
私はこういった制度を知らなくて、申請していなかったんだが、今からでももらうことはできるだろうか?
大丈夫ですよ。
年金事務所に「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」という書類を提出することで、過去にさかのぼって、未支給だった加給年金、振替加算が支給されます。
ただし、時効は5年です。
70歳になるまでに加給年金の申請漏れがないかを必ずチェックしてくださいね。
なるほど。
早速年金事務所に行って相談してくるよ。
そうしてください。
ここで今回のまとめです。
・年金制度には、家族手当がある
・年下の妻がいるときは加給年金を申請しましょう
・年上妻の場合にも、振替加算の対象になることがあります
はい、今回の内容はいかがだったでしょうか?
せっかくもらえる権利があるのに、申請しそこねて、支給されなくなるのはとてももったいないですね。
ご自身が制度を利用できるかどうかは、お近くの年金事務所にお問い合わせください。