コロナで経済的な影響を受けている人が増えています。
そういった金銭的な理由で大学・専門学校への進学をあきらめないよう、2020年4月から新制度がスタートしています。
世帯収入の基準を満たしていれば、成績だけで判断せず、しっかりとした「学ぶ意欲」があれば支援を受けることができるのです。
給付型奨学金の対象となれば、大学・専門学校等の授業料・入学金も免除又は減額されます。
奨学金の制度(給付型)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kyufu/index.html
独立行政法人日本学生支援機構「進学資金シミュレーター」
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/shogakukin-simulator.html
※文部科学省 「高等教育の修学支援新制度の対象機関リスト
(全機関要件確認者の公表情報とりまとめ)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/1421838.htm
どうしよう……、困ったわ。
ナビ子さん、どうしたんですか?
いえ、大学2年生の息子が遠くで独り暮らしをしているんだけど。
コロナで飲食店のバイトをクビになってしまったみたいなの。
仕送りを増やしてあげたいけど、今こっちも生活が苦しくて……。
それは大変ですね……。
それなら、給付型奨学金を使ってみてはいかがですか?
経済的な理由で大学や専門学校への進学をあきらめないように、2020年4月からスタートした新しい制度があるんですよ。
いわゆる、大学無償化法です。
聞いたことがあるわ。でももう、締め切りは過ぎたみたいだけど……。
そうですね。
通常、奨学金の受付は毎年春と秋です。
ですが、コロナなどの影響で経済的に打撃を受けた場合は、通年で申し込みを受け付けるようになっているんです。
これを家計急変採用といいます。
そうなのね。
給付型……ということは、返さなくてもいいのよね?
ええ、そのとおりです。
返済不要の給付型奨学金が支給される上に、授業料や入学金も免除や減額されます。
すごく助かるわ!
でもそれって、希望者全員が受けられるのかしら?
いえ、残念ながら「困窮世帯」が対象です。
具体的には「生活保護世帯」「住民税非課税世帯」「住民税非課税世帯に準ずる世帯」のどれかに当てはまる必要があります。
「生活保護世帯」のみが対象だった旧制度と比べると、対象者は大幅に増えているんですよ。
そうなのね。
前は対象外だったけど、今なら使えるかもしれないわ。
世帯年収によって、支援を受けられる額が変わるのよね?
ええ、そうなんです。
世帯収入に応じた3段階の基準で支援額が決まります。
基本的には、世帯年収が低ければ低いほど、手厚い支援が受けられるようになっています。
それって、いつの年収で判断されるの?
前年度の課税情報です。
例えば、2021年春の在学採用に申し込んだ場合は、2019年1月~12月の所得に基づく、2020年度市町村民税で審査を行います。
実は今年、夫の会社が休業状態で、がくんと収入が落ちているの。
でも去年まではそこそこ収入があったから、この区分には当てはまらないわ……。
大丈夫です。
基本的には前年度の所得で判断されますが、予期できない理由で家計が急変した場合は、「家計の所得の見込み」で支援対象となるかどうかが決まります。
ああ、さっき言っていた家計急変採用ね。
そうです。
例えば、生計を維持している人の死亡や、事故や病気等によって働くのが困難になった場合。
災害等やむを得ない事由があった場合は、家計急変採用の対象とされています。
新型コロナウイルスの流行が原因で、収入が激減した場合も支援の対象となるよう運用されているんですよ。
1.生計を維持している人の死亡
2.事故や病気等によって働くのが困難になった
3.災害等やむを得ない事由があったとき(コロナ含む)
それは助かるわ。
ただし家計急変採用の場合は、すでに大学に在学しているのが条件です。
家計急変が発生したときから、3カ月以内に申し込む必要があります。
3カ月以内に申し込みが必要
たぶん大丈夫だと思うけど、確認したいわ。
どこにいけば、自分の家庭が支援の対象になるか調べられるかしら?
なるほど。これはかんたんでいいわね。
それと、収入以外にも資産基準というものがあります。
これは資産の合計が2000万円未満となっています。
ただし、母子家庭など、生計維持者が一人の場合は1250万円未満となっています。
それって家や土地も含まれるの?
いえいえ、不動産や自家用車、保険などは含まれないですよ。
あくまでもすぐ現金化できるものが対象になります。
試してみるわね。これなら私も受けられそうだわ。
よかったですね。
でも、奨学金って子供が成績優秀じゃないと受けられないわよね?
うちは大丈夫かしら……。
たしかに、高校や大学での学力が問われます。
もし学力基準を満たしていない場合でも、「将来社会で自立し、活躍する目標をもって、進学しようとする大学等における学習意欲を有すること」が認められれば、奨学金の対象になります。
具体的には、高校や大学の先生と面談したり、レポートを提出したりして、学習意欲が確認できれば奨学金の対象となります。
やる気さえあれば、ほとんど学力は気にしなくてもいいのね。
短大でもいいのかしら?
はい。
短期大学・高等専門学校・専門学校も給付金の対象に含まれます。
ただし、一定の要件を満たすことが条件となっているので、大学や専門学校等がこの支援制度の対象となっているかどうかを事前に確認しておきましょう。
こちらもページ上部にリンクを貼っておきますね。
改めて確認したいんだけど、授業料はどのくらい安くなるの?
世帯年収や、国公立か私立かでも異なります。
住民税非課税世帯を例に出すとこんな感じになります。
例えば、国公立に自宅外から通学する場合、毎月66,700円の支援が受けられます。
私立だと75,800円ですね。
子供が独り暮らしして大学に通う場合は、家賃にもあてられるし、とってもありがたいわね。
これに加えて、授業料の減免措置もあるんでしょ?
そうです。
給付型奨学金の対象者は、最大で年間約70万円の授業料の免除・減額を受けることができます。
すごく手厚い支援が受けられるのね。
ええ、これまでの奨学金と比べてもとても手厚くなっています。
早速申し込み方法を教えてくれる?
まず学校の先生から申請書類を入手します。
そのあと、日本学生支援機構のホームページにある、「スカラネット・パーソナル」から申し込みます。
支援の対象になると決定通知書が郵送されてきます。
これなら、なんとかなりそう。
息子も心配していたし、借金も覚悟していたからホッとしたわ。
そうですね。
長引くコロナの影響で経済的に苦しくなっているご家庭も増えていますから、こういった制度をどんどん利用していただきたいです。
ここで今回のまとめです。
2020年4月から大学無償化法がスタート
「生活保護世帯」「住民税非課税世帯」「住民税非課税世帯に準ずる世帯」が対象
家計が急変したときは通年で利用可能
今回の内容はいかがだったでしょうか。
どの家庭もいつどのような状況で家計が急変するかはわかりません。
そんな時にも進学をあきらめずにすむように、しっかり制度を活用してくださいね。