年金制度には、がんや糖尿病、認知症、うつなどさまざまな病気やケガが対象になる障害年金というものがあります。
しかし、制度が複雑な上に、あまり知られていないため、要件に該当しているのに請求していない方が多いようです。
請求にはタイムリミットがあるので、ぜひ一度要件をご確認ください。
昨日友人と話してたら「年金のもらい忘れがあった~」ってすごく悔しがってたんだよね。
あぁ、年金って申請主義ですから、要件に当てはまっても、自分から申請しないと権利が発生しないんですよね。
年金は申請主義
自分から申請しないと権利が発生しない!
私も、要件に該当したら自動的に権利が発生するものだと思ってたよ。
年金制度についてよく知らないと、申請し忘れることもありそうだね。
どんな年金が申請漏れが多いんだい?
年金には、老後にもらえる老齢年金のほかに、配偶者が亡くなったときにもらえる遺族年金、怪我や病気で日常生活に制限があるときにもらえる障害年金があります。
この中で申請漏れが多いのは障害年金ですね。
・老齢年金=老後にもらえる年金
・遺族年金=配偶者が亡くなったときにもらえる年金
・障害年金=障害をおったときにもらえる年金
障害年金? 聞いたことはあるけど、あまり馴染みはないね。
そうですよね。
そもそも障害年金の制度自体があまり知られていないので、自分が要件に該当していても、請求していないことが多いようです。
重い障害がある人だけが使えるのかい?
必ずしもそうとは限りません。
がんや糖尿病、心疾患、うつ病、若年性認知症など障害年金の支給対象になる病気はとても多いのです。
もし障害等級に当てはまらなくても、障害手当金という一時金がもらえることがありますが、ほとんどの人は知りません。
わたしも初めて聞いたよ。
では今日は障害年金についておさらいしていきましょう。
まず、障害年金の基本について。
「年金」というと、老後のイメージが強いと思いますが、障害年金は基本的に20歳以上であれば受け取ることができます。
発達障害などの生まれつきの障害や、20歳前に発症することの多い統合失調症も対象になるんですよ。
・基本的に20歳以上であれば受け取ることが可能
・発達障害などの生まれつきの障害や、20歳前に発症することの多い統合失調症も対象になる
そうなんだ。知らなかったよ。
障害年金は、手足の障害や、内臓の疾患、精神疾患など大変多くの傷病が対象となるんですよ。
障害年金がもらえるかどうかは、病名だけではなく、日常生活や仕事にどれくらい支障があるかで判断されます。
1.外部障害:眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など
2.精神障害:統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害など
3.内部障害:呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど
うーん、どういうケースが対象になるんだい?
ほとんど寝たきりで、入院や在宅介護が必要な状況だね。
そうです。
障害等級2級は、他人の手を借りる必要はないけれど、日常生活が困難で、仕事で収入を得るのが難しいレベルです。
活動の範囲が病院内や家庭内に限られるイメージです。
かんたんな家事くらいはできたとしても、一人で外を出歩くのは難しいケースだね。
その通りです。
国民年金には1・2級しかありませんが、厚生年金であれば3級と障害手当金の制度があります。
3級は、日常生活にはほとんど支障はありませんが、労働に制限がある場合に該当します。
3級に該当しなくても、障害手当金という一時金が出ることがあります。
いくらくらいもらえるんだい?
へえ、障害基礎年金の2級に該当すれば、老齢基礎年金の満額がもらえるんだね。
病気や怪我で働けなくなった時でも、妻や子供を養う必要があるから、これは助かるね。
そうですね。
最近は鬱病で働けなくなった若い方が請求するケースも増えているようですよ。
そういえば、昔の上司が認知症になったみたいなんだけど、それも障害年金の対象になるのかい?
認知症は障害年金では1級~3級に該当します。
ただし、発症してから病院に初めて行った日の年齢に注意してください。
65歳未満で受診していれば対象になりますが、65歳以降に病院に行った場合は、請求できません。
ええっ、なんで?
同じ病気なのに?
障害年金の請求にはタイムリミットがあります。
認知症に限らず、基本的に65歳になる前に病院に行って「初診日」を確定させる必要があるのです。
初診日が65歳以降にある場合は、障害年金の請求はできません。
障害年金にはタイムリミットがある
65歳までに病院に行かないといけないんだね。
そうなんです。
もし64歳で認知症の症状が出始めていても、65歳を過ぎてから病院に行った場合はアウトです。
また、繰り上げ受給した場合も、65歳に達したとみなされるので、その後に初診日がある場合は、請求できません。
初診日のタイミングが大事なんだね。
そうです。
年金の種類も「初診日」によって判断されます。もし会社におとつめの間に初診日があれば、厚生年金からの上乗せ給付があるので、より手厚い支援が受けられます。
・医師から初めて病気や障害の診断を受けた日を「初診日」と言う
・必ず65歳前に病院で診断を受ける必要がある
もし気になる症状があるなら、退職する前に病院にかかってたほうが良さそうだね。
初診日で障害状態だと認定されたら、障害年金はすぐにもらえるのかい?
すぐにもらえるわけではないんだね。
そうなんです。
ただ、症状が固定したことが明らかな場合は、もっと早く請求することもできますよ。
ここで今回のまとめです。
・障害年金にはタイムリミットがある
・請求しないと権利が発生しない
・65歳前までに初診日がないと請求できない
今回は障害年金の制度についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
いやあ、いろいろと知らないことばかりだったよ。
年をとるといろんな病気になりやすいし、65歳になる前に、一度健康診断を受けておこうかな。
それはいいですね。
ぜひそうしてください。
今回の内容はいかがだったでしょうか?
障害年金は、重い介護状態じゃなくてももらえるケースがあります。気になる方はぜひお近くの年金事務所や年金相談センターにお問い合わせください。